識別ガイド 09種

イルカ・クジラの見分け方

「イルカ」と「クジラ」には生物学的に厳密な境界はなく、ここで扱う顔ぶれはすべて歯を持つ鯨類です。日本語では体長およそ4mを目安に大きいものをクジラ、小さいものをイルカと呼ぶ慣習があります。だから最大のイルカ科であるシャチや、イルカ科のゴンドウ類も「クジラ」と呼ばれます。大きさと体の模様、背びれの有無、くちばしと額の形を順に見れば、呼び名と分類の違いごと楽しめます。

見分け方の手順

5手順

  1. まず全身の色で大づかみ

    全身が白ければシロイルカ。黒と白のツートンで大きければシャチ。頭と尾だけが黒く胴が白い「パンダ模様」ならイロワケイルカ。

  2. 背びれの有無を確かめる

    背びれがなく背中がなだらかなら、灰色で小柄なスナメリか、白くて大きなシロイルカのどちらか。しっかりした背びれが立っていればマイルカ科の仲間。

  3. 「イルカ/クジラ」は大きさによる呼び名と知る

    およそ4mを境に呼び分けることが多いのは慣習で、分類ではありません。シャチやゴンドウ類はマイルカ科でも大きいためクジラと呼ばれ、スナメリやシロイルカは別の科です。

  4. くちばし(吻)を見る

    前に細長く突き出た吻があればバンドウイルカ。吻がなく顔が丸いのは、スナメリ・イロワケイルカ・シロイルカの側。

  5. 額の形で仕上げる

    額が大きく丸く膨らみ、首を左右に曲げられるのはシロイルカだけ。この「動く首」は歯クジラでは珍しい特徴。

マイルカ科・「イルカ」と呼ぶ仲間(シャチは最大のイルカ科)

4種

ハンドウイルカ(バンドウイルカ)
写真: Jules Verne Times Two / CC BY-SA 4.0 / 出典 / トリミング表示

識別標本 bottlenose-dolphin

ハンドウイルカ(バンドウイルカ)はんどういるか

Tursiops truncatusLC軽度懸念

全長
約2〜4m
見分けの決め手
水族館でおなじみの“ザ・イルカ”。前に突き出た吻と、口角が上がって笑っているような表情、鎌形の背びれが目印。
おもな生息域
世界の温帯・熱帯の海
カマイルカ
写真: The original uploader was Leefon at English Wikipedia. / CC BY-SA 3.0 / 出典 / トリミング表示

識別標本 pacific-white-sided-dolphin

カマイルカかまいるか

Lagenorhynchus obliquidensLC軽度懸念

全長
約2.5m
見分けの決め手
暗い背と明るい脇腹の砂時計模様。前縁が暗く後縁が淡い、二色に見える強く湾曲した鎌形背びれが決め手。主表記はLagenorhynchus(別属への再分類提案あり)。
おもな生息域
北太平洋の冷温帯
イロワケイルカ
写真: Motokoka / CC BY-SA 4.0 / 出典 / トリミング表示

識別標本 commersons-dolphin

イロワケイルカいろわけいるか

Cephalorhynchus commersoniiLC軽度懸念

全長
約1.3〜1.7m
見分けの決め手
頭と尾は黒、胴は白の塗り分けが「パンダイルカ」とも呼ばれる小型種。吻はなく背びれは丸みを帯びる。
おもな生息域
南米南部・ケルゲレン諸島の周辺

マイルカ科・「ゴンドウ(クジラ)」と呼ぶ仲間(イルカ科だが大型)

3種

ハナゴンドウ
写真: OpenCage (Wikimedia Commons) / CC BY-SA 2.5 / 出典 / トリミング表示

識別標本 rissos-dolphin

ハナゴンドウはなごんどう

Grampus griseusLC軽度懸念

全長
約3〜4m
見分けの決め手
白い線状の傷が全身に増え、年齢とともに白っぽく見える。丸い頭の額には縦溝があり、吻はない。イルカ科だがゴンドウと呼ばれる。
おもな生息域
世界の熱帯・温帯の沖合(水深400〜1,000m)
オキゴンドウ
写真: NOAA / SWFSC Protected Resources Division / Public domain / 出典 / トリミング表示

識別標本 false-killer-whale

オキゴンドウおきごんどう

Pseudorca crassidensNT準絶滅危惧

全長
最大約6m
見分けの決め手
ほぼ一様な黒で細身。胸びれの前縁中央にコブ状の張り出しがあり、S字状に見える。イルカ科だが大型のゴンドウ。
おもな生息域
世界の熱帯・温帯の外洋
コビレゴンドウ
写真: Martina Nolte / CC BY-SA 3.0 de / 出典 / トリミング表示

識別標本 short-finned-pilot-whale

コビレゴンドウこびれごんどう

Globicephala macrorhynchusLC軽度懸念

全長
約4〜7m
見分けの決め手
壺のように大きく膨らむ額(メロン)と腹の錨形白斑。幅広く後方へ反る低い背びれを持つ、イルカ科の大型ゴンドウ。
おもな生息域
世界の熱帯・温帯の海

ネズミイルカ科(背びれがなく小柄)

1種

スナメリ
写真: ori2uru / CC BY 2.0 / 出典 / トリミング表示

識別標本 finless-porpoise

スナメリすなめり

Neophocaena asiaeorientalisEN絶滅危惧IB類

全長
約1.5〜2m
見分けの決め手
背びれがまったくなく、背中に低い隆起の帯があるだけ。丸い頭に吻もない灰色の小型種で、口もとが笑っているように見える。
おもな生息域
日本〜東南アジアの沿岸・河口

イッカク科(白い体と丸い額)

1種

シロイルカ
写真: Sheila Sund / CC BY 2.0 / 出典 / トリミング表示

識別標本 beluga-whale

シロイルカしろいるか

Delphinapterus leucasLC軽度懸念

全長
約3〜5.5m
見分けの決め手
全身が純白で、丸く膨らんだ額(メロン)が目立つ。背びれはなく低い稜だけ。首を動かして豊かな声を出し「海のカナリア」とも呼ばれる。
おもな生息域
北極海・亜寒帯の海

そっくり種の見分け

3組

スナメリ と シロイルカ

どちらも背びれがない2種。大きさと色で見分ける。

項目スナメリシロイルカ
背びれ なし(背に低い隆起の帯だけ) なし(低い稜だけ)
大きさ 約1.5〜2m(小型) 約3〜5.5m(大型)
体の色 灰色 全身が純白
額と首 丸い頭・吻はない 額が大きく膨らみ、首を左右に動かせる

シャチ・バンドウ・イロワケ

同じマイルカ科でも大きさと模様がまるで違う3種。

項目シャチハンドウイルカ(バンドウイルカ)イロワケイルカ
大きさ 約5〜9m(最大) 約2〜4m 約1.3〜1.7m(小型)
体の模様 黒地に白い眼状斑と腹 全身が灰色 頭と尾は黒、胴は白のパンダ模様
くちばし(吻) 目立たない 前に長く突き出る ない
背びれ オスは1.8mに直立 鎌形 丸みを帯びる

ハナゴンドウ と バンドウイルカ

ハナゴンドウはクジラを思わせる「ゴンドウ」と呼ばれてもマイルカ科。名前ではなく体の特徴と分類を見てみよう。

項目ハナゴンドウハンドウイルカ(バンドウイルカ)
呼び名と分類 ゴンドウ(クジラ)と呼ばれるがマイルカ科 典型的なイルカの呼び名・マイルカ科
大きさ 約3〜4m 約2〜4m
顔と体 吻がなく、白い傷と額の縦溝 太く短い吻、灰色の体

出典

ガイド本文: ja.wikipedia.org en.wikipedia.org ja.wikipedia.org / 写真: 各カードのCommons出典リンクを参照。